銀の天使

始まりの月

しばらく部屋で疲れをとってから、俺は居間へ向かう。

座椅子に座りテレビの電源をつけると、いつものニュースキャスターの女性が明日の天気を読み上げている。

「明日の天気は以上です。さて皆さん、今夜の月はもう見ましたか？　実は今日、一年で最も月が大きく見える日なんです！　バレンタインの夜に、皆さんも恋人と月を眺めてはいかがですか？　では、CMの後は経済です」

キャスターの女性が礼をすると、テレビはCMに変わる。

「月、か……」

月は結構好きだ。

月を見てると、心が落ち着く。

…何だかとても月が見たくなってきた

（よし、今夜は一人パーティーだな！）

コンビニに行ってお菓子とジュースを買って、ついでに月も見てこよう。

お菓子とジュースは頑張った自分へのささやかなご褒美だ。