始まりの月

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試合が終わり表彰も済んだので、俺たちは会場を出た。 外はもう日が落ちかけていて、辺り一面がオレンジに染まっている。 「じゃっじゃーん! 全国高校生剣道大会冬の部優勝 風間晃一殿っ! おめでとうっ!」 俺の幼馴染で、星門学園剣道部のマネージャー、加藤彩奈は歩きながら嬉しそうにその手に持った賞状を読み上げる。 「ありがとな、彩奈」 「いや、ホントすごかったよ! まぁ晃一が勝てたのも、今まで面倒見てきた私のおかげかな!」 えっへんと威張り、いかにもツッコミをいれてほしそうな顔をしていたので、ここはあえて素直に思った事を言ってみる。 「ほんと、ありがとな。お前がいなかったら、絶対ここまで頑張れなかったよ」 それを聞いた彩奈は一瞬固まり、そして顔がみるみるうちに赤くなっていく。
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