始まりの月

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「そう、か… なら、よかったけど……」 明らかに動揺した彩奈は、目を逸らしながらカタコトで言う。 俺はそれが面白くて笑ってしまう。 「おい! 何笑ってんだよ~っ!!」 「いや… フフッ 別に?」 「うゎ~…ムカつく。でも、嬉しかったぞ。」 彩奈は少し怒ったが、すぐにいつもの笑顔に戻った。 そして、自分の手に持っていたカバンの中から何かを出した。 「そんな正直者の晃一君にプレゼント。 はい、ハッピーバレンタイン!」 突き出した手に持っているのは、赤い小さなリボンのついた箱。 箱の上には、「優勝おめでとう!」と書いてある。 そうか、今日は2月14日だったな……
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