冷たい青色

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「……落ち着いて。急に泣かれたんじゃ、私もどうしたらいいかわからないわ」  心底戸惑ったような表情の女の人は、あたしの額を撫でていた手を、今度は頭の上に移動させる。……どうやら、ぶつけた所を労ってくれてるらしい。 「……立てる?」 「は、はい……」  女の人に手を引かれて立ち上がると、今度はベッドに腰をかける形で座った。  女の人はベッドサイドまで椅子を引き、あたしと向かい合うように座る。 「記憶喪失……じゃないわよね? どこから来たか、ここがどこだか、理解はしてるの?」 「あ、えっ、と、その……はい。どこから来たかは、わかります。ここはわかりま、せん、けど……」 「ここはダアトよ。ダアト騎士団の本部」 「ダー、ト?」 「……あなたはどこから?」  あ、今『話にならない』って顔、された気がする。 「私は、日本です。日本の……あれ?」 「何かしら?」 「言葉……」 「……?」 「言葉、通じてる……なんで!? え、ここ日本!?」 「い、いえ、違うけれど……?」 「だっ、て……なんで……!?」  金髪碧眼なんて外国人の典型だし、外で見た建物だって日本のそれじゃなかった。  この女の人がバイリンガルなのかと思ったけど、昨日の兵士っぽい人たちとも日本語で話してたし……。 「……つかぬことをお訊きしますが……ここはなんて世界ですか?」 「世界? どういう意味かしら?」 「あ、えっと……星?」 「惑星としてなら、オールドラントね」  ……あぁ、今度は『何言ってんだ』って顔。あたしだってそのまま返したいよ……何て言ったっけ? オールドランド? なにが、惑星が? 「…………」  どうしよう、本気でチューニ病だ、あたし。
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