冷たい青色

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 *** 「こちらまでで、よかった……でしょうか?」 「は、い……ありがとうございます」  どう対応したらいいのかわからない、というような態度の鎧姿の、多分男の人。さっきの女の人は、どうやら相当偉い人だったらしい。……ついでに、あたしはその人の知り合いだと思われた、らしい。  最初は見るからに兵士、って感じの二人に挟まれて怖かったけど、ここに来るまでにだいぶ落ち着いていた。  鎧姿の二人は一度敬礼をすると、すぐに建物に入っていってしまった。  二人が去っていった建物を見上げて、ぐるりと自分を中央に周りを見回す。  小さな庭とも言えないほどの空間にあるのは何か書かれた石板、目の前にそびえる巨大な扉、真後ろにあった長い下りの階段。  それから……どこの国か予想できないほど見たことないデザインの服を着た人たち。その冷たい視線。  ……そっか。あたしから見て知らない服装ってことは、向こうも同じだよね。 「…………」  なんて、ずいぶん冷静に考えられた。もしかしたら夢なのかな。だからこうやって客観視できるようになったのかもしれない、やっとそう思えた。  だとしたら、もうすぐ覚めるかな。知らない場所、なんて珍しい夢でもないんだろうけど、こんな居心地の悪い夢は嫌だし。  階段を降りた向こうは小さな街があるみたいだけど、わざわざ白い目に囲まれに行くのもなぁ……。  落ち着いた途端に心細さもなくなって、石板のある空間のベンチに腰掛ける。  まばらに行き交う人を見ながら膝を抱えていると、少しずつ眠くなってきた。見ている人がいないのをいいことに、上半身をベンチに投げ出す。  目が覚めたら、ソファーの上かな? ……だといいなぁ。まだベンチの上だったら嫌だしなぁ……。  もしまたベンチの上だったら、と考えて、止めた。  リアリティーがあっても夢は夢だ。覚めなきゃいけない夢。だから、だから。  ……帰れないかもなんて、考えるな。  
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