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「ありがとーございしたぁ。」
小さな声でお客を見送った。でも俺はカウンターの向こう側影で丸椅子に腰をかけ、携帯をカタカタいじりっていた。
バコッ
「いでっ。」
天罰が下った。
「お前、お情けでここに入れてもらってる自覚あるのか!」
「……すみません。」
「はぁー。まったく。お前はやる気ってものがないのか!」
「やる気なんて、どこかに忘れてきてしまいましたから、今探してます。あっ、マスター。俺のやる気、見かけませんでした?」
「知るか!今更だがな、お前頭大丈夫か?」
「このままだとダメでしょうね。」
わかってるなら、しゃきっとしろ!って絶対に言うとわかっていたけど、あえて言わなかったのは、ちゃんと俺が理解しているから。だと思う。
マスターが重いため息を吐くと、向かいのカウンターに座っていた一人の顧客が口を開いた。
「マスター、それくらいにしてあげなよ。」
「スーさん、またかい?こいつにはオーラがあるからどーのこーのって。」
「そう。サクラちゃんはオーラが」
「スーさん。だから"ちゃん"付けはやめてくださいって。俺、男だから。」
そういうとハハッってスーさんは笑うと話をいつものように続けた。
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