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「だからね、サクラちゃんはオーラがあるんだよ。存在感があるんだよ。サクラちゃんがこのお店にいてくれるだけで空気が和むんだよ。だから、わたしや他の人もまた来たくなるんだよ。サクラちゃんがいないと、このお店は潰れてるよ。」
「スーさん、それは私に喧嘩売ってます?サクラがいなかったらこの店は潰れるなんて、始めて聞きましたよ。」
俺も初耳。マスターも怒り押さえてるよ。なんとなく。隣にいるから余計にわかる。
俺はなにもしないよりはと、携帯をまたいじり始めた。これって逃げてるのかな?
「おっと、友人からだ。」
カウンターに置かれていた簡単携帯を手に取って、スーさんは呟いた。
携帯鳴りませんでしたが。
「今日、東京へ遊びに行くと言っていてね。」
マスターも、俯いていた俺も気付いている。嘘だ、これは。
スーさんは困ると、いつもカウンターに置いている反応のない簡単携帯を取っては「友人からだ」と口にする。
いい加減、その嘘臭い手は通用しないって気づこうよ。小学生だって見抜けるよ。
「サクラちゃん、お願い。」
「……。」
「…はぃ。」
マスターとアイコンタクトを取ってから、俺は携帯をポケットに仕舞い、小さくなりながらマスターの前を通ってレジへ向かった。
「5」
「はい。」
俺が言うよりも早くスーさんは520円ピッタリ出した。レシートを受け取ると「じゃ、またね」と作り笑顔で出ていった。
チャリンチャリンと鈴が鳴り
「…ありがとーございしたぁ。」
「ありがとうございました、だろ!」
「いだっ。」
20110313.macoto.こんな日
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