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入学式の会場の体育館は
去年とも一昨年とも同じままだった。
『第○回』ってとこの数字が大きくなって
板の周りに少しキズがついたくらい。
【一年生 入場…】
うわ、ヤバい。
やっぱり退屈だ...
来賓の祝辞とか、白髪のおじいさん出てきちゃったし..
沙樹は周りを見渡した。
綾部じゃない。
桜の彼を探す為に…
なのに、目に入ってきたのはあくびをこらえる綾部の姿だった。
【綾部 健です。趣味と特技はサッカーです…】
綾部 健、かぁ。
鼻にまた、あのドキドキする新しい匂いが戻ってきた。
去年の今日。
私 恋したんだったなー。
いまより背が低かった。
いまより髪が短かった。
いまより制服が大きかった。
…今みたいに、隣に美咲がいなかった。
不意に視界がぼやけた。
ここで泣くなんて…プライドが許さない。
必死でこらえてるといきなり号令がかかった。
【在校生 起立!!】
ガタガタっ!!
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