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「へぇ綺麗に片付いてるねぇ」
陸斗を知っている謎の女は勝手にスリッパに履き替え、陸斗の家を見渡しながら歩き回る。
「えと陸ちゃんの部屋は確か二階か」
キシッキシッと階段を上る音が徐々に大きくなる。
その音はサキュバスの二人にもしっかり聞こえていた。
「こ、こっち来るよ!!」
「こうなったら仕方ない一時脱出するぞエリス!!」
バサッと今まで小さく折り畳んでいた翼を広げ飛ぶ体勢に移るルシルだったが、
グーギュルルルル!!
「お腹空いちゃ飛べないよね……ギュルルルル」
もう覚悟を決めるしかないか。
腹ペコの二人が飛べるわけなかった。
一方謎の女は順調に陸斗の部屋の前にたどり着いた。
「おはようございます。今私篠崎尚(シノザキナオ)は幼なじみの陸ちゃんの部屋の前に来ていまーす」
手を丸めまるでマイクの様に口元にもっていきながら話すのは、謎の女ではなく篠崎尚。家は陸斗の家の隣で小さい頃からいつも一緒だった。陸斗が祖父母の家に行くことになった後も、よく会いに行っていた。
髪は栗色でロングヘアーだが、いつもポニーテールにしている。目はぱっちり二重で、サキュバスの二人が美しいと表現するなら尚は可愛いと表現されるだろう。しかし胸は残念な大きさである……ちなみにもう片方の手には饅頭が入った小包が握られている。
ふふっ陸ちゃんの寝顔可愛いんだよねぇ。童顔でまだ幼さが残ってる顔立ちは抱き締めたくなるくらい!!
そう尚がやろうとしているのは
“寝起きドッキリ!!”
寝ている陸斗の寝顔を堪能しようという狙いだ。
「では早速入ってみましょう」
「く、来る!!」
ガチャ!!
同時にサキュバスの二人も身構える。ただし陸斗の腕に身を寄せながら。
「おはようございま……」
ドスン
中に入った瞬間尚は固まり、手から饅頭の小包を落とした。
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