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「さてまずはお母さんの部屋を軽く掃除しなきゃ」
両親の服などは捨てたり、おじちゃん達の家に預けたりしているためクローゼットやタンスの中はほとんど空だ。ベッドもセミダブルだから二人でも寝れるだろう。
ちなみに僕の部屋のベッドもセミダブル。おじいちゃんが「高校生にはシングルベッドは狭いだろう」と言ってセミダブルのベッドを買ってくれた。もちろん僕には詳しい理由は分からない。
「じゃぁ僕少し部屋の掃除するから待っててね」
「あっちょっと待った!!」
部屋のドアを開けようとした時エリスに呼び止められた。
「さっき女の子が落としたこの小包からとってもいい匂いがするんだけど……もしかして食べ物??実は私達お腹ペコペコなの……」
人間界の食べ物なんて食べたことないけど、もう我慢の限界。
「あぁお饅頭のことかな。待って今開けるから。」
尚ちゃんは昔から甘いお菓子が大好物なんだよなぁ。特にお饅頭が。遊びに来るときはいつもあんこたっぷりのお饅頭を持ってきて一緒に食べたものだ。
以前尚ちゃんの家族に誘われて温泉旅行に行った時、そこで行われた“温泉饅頭大食い大会”で30分間に100個以上笑顔で食べて優勝した経験もある。
僕が丁寧に袋を開けていると、ルシルとエリスが近くに寄ってきた。
「はい、一つ食べてみてよ」
うーん茶色い薄い饅頭だからこれは某県の名物“薄○饅頭”のようだ。
僕は饅頭をルシルとエリスに渡した。
パクッ、モグモグ
最初二人は物珍しそうに見ていたが意を決して口に入れた。
「美味しい」って言ってくれるかなぁ
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