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「ルシルお姉様、やっぱダーリンに教えるのは早かったんじゃない??」
話を聞いてたダーリンがみるみる顔が青ざめていったし……なんかかわいそうだった。
「しかし、後で事実を伝えて、ターゲートが逃げ出して手遅れになることだってある。それなら早く受け止めてもらった方がいい。それにエリス、前回お前は「精気が不味い」って言ってあまり吸わなかっただろ!?私は不味くてもしっかり吸っておいたが、その分お前の“精の渇き”が来るのが早いんだからな」
「うぅわかってるよ~」
エリスはハァーと深いため息を吐き、リビングの天井を眺めた。
先程話をした後陸斗はひどく落胆し、「少しの間一人になりたい」と言って自分の部屋に閉じ籠ってしまった。
ガチャ!!
「!!」
「陸ちゃん!!助けに来たよ!!」
「りっくん無事か!?」
リビングの空気が重くなり始めた時、突然鍋の蓋にフライ返しを持った尚と 竹刀を持った尚の姉瑠璃がドタドタと家に入ってきた。
どうやら先程出ていった時、姉に助けを求めたのだろう。
尚の姉、篠崎瑠璃(シノザキルリ)は26歳で夢美高校の教員。髪は栗色の腰まで伸びるストレート。目はやや細目、幼い頃から剣道を習っており、現在剣道五段を持っている。そのため体は引き締まり、ルシルに負けて劣らずボンキュッボンである。性格は厳格で生徒からは恐れられているが、実は妹の尚、そして陸斗にはとことん甘い。
「る、ルシルお姉様!!またあの饅頭持ってきた女の声だよ」
また饅頭くれるのかな??そうだったら大歓迎なんだけど。
「一体何事だ!?」
どうやら一人ではなく二人来たようだな。
シリアスになっていた二人にとっては突然すぎて動くことも出来ない。
ダッダッダッダッキュイン!!
「見つけた!!リビングに居たよお姉ちゃん!!こっちこっち!!」
ちょっ何で陸ちゃんママのワンピース着ているのよ!!それにさっきはよくも私の体をバカにしてくれたわね(ほぼ自滅)お姉ちゃんにケチョンケチョンにしてもらうんだから!!
「へぇ、あの二人がサキュバスか……確かに尚ちゃんの言う通り、角や翼があり人間ではないな」
尚に遅れて瑠璃もリビングに入り、サキュバスと対面する。
しかし、この二人からは邪悪なオーラが感じられないな……尚ちゃんはりっくんを誘惑し、自分の体、特に胸をバカにされたと私に泣き付いて来たが……本当か??
静かだったリビングが一転、騒がしくなってしまった。
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