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「おーい君~起きてー」
ツンツンツンツン
「ダメだ起きないや。どうするルシルお姉様??これじゃぁ精気吸えないよ」
陸斗が気絶してから十分が経った。先程からエリスが頬っぺたを突っついたり、引っ張ったりしているが全然起きないため、二人は緊急会議を開いていた。
「まさか選んだターゲットが性に関する知識が皆無とは……予想外だな」
……この坊やから精気なんて吸えるのか??
「ならターゲット変えちゃう??名残惜しいけど」
「それはダメだ。私達は一度決めたターゲットからは満足に精気を吸い取らない限りターゲット変えることは禁止だろ」
ルシルの言う通りサキュバスには暗黙のルールが多くある。これらのルールを破ればサキュバスには罰が与えられてしまう。
「じゃぁこの子とここでしばらく暮らすってこと??」
「そうなるな……」
人間界に留まるとなると何かと大変だな。何よりあの御方にバレると厄介だ。慎重に行動せねば。
「ヤッター!!」
精気は吸いたいけどこんな可愛い子と一緒にいられるなんて幸せー。性の知識は私が少しずつ“体”で教えてあげなきゃ!!
姉の心配を他所にエリスはピョンピョン跳ねて喜んでいる。
はぁ、問題山積みだというのに……まずは屋根と天井を直さないと。
「リカバリーパーツ」
ルシルが魔法を唱えると崩れていた屋根や天井の瓦礫や木材が自然に上へ上がっていき、やがて元通りになった。
「これでよし」
グーギュルルルル
「クスクス、ルシルお姉様お腹鳴ってるよー」
サキュバスは魔法が使えるが魔法は魔力の弱い日中では体力を消耗してしまう。
ギュルルルル!!
「お前もな」
「私も透視の魔法使ったからか……」
うーお腹空いたよー
サキュバスは人間の精気を吸うことで空腹を満たすが、ターゲットがいない時は人間の食料を食べたりして空腹を満たす。しかし精気を吸わないと満腹にはならない
それに二人は今まで人間の食べ物を食べたことがなかった。
「どうしよーこのままじゃ飢え死にだぁ……」
ピンポーン!!
「「!!」」
二人が焦り始めた時家にチャイムの音が鳴り響いた。
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