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靴の音が廊下に響いた。
それが誰の足音かなんて顔を見なくても解る。
自分が生まれてから長くなれ親しんだ足音。
その音が止まった。
きっと…いや確実に扉を開けるためだ。
少し重くぎぃっと嫌な音がする扉を開けた人は驚いていた。
「いたのかよっ。いつも遅いくせに何でこんなに早いんだよ…」
ため息混じりにいわれれば笑顔で答える。
「これでも一応ホスト国だからね」
相手は納得したのかしていないのか解らないがそのことには触れなかった。
「ねぇ、君こそなんでこんなに早いんだい?」
「俺が早いのはいつものことだろ」
「ふーん。その割りに君が他国の会議で会場に着くよりも30分は早いけど?」
俺がそういったら相手は押し黙った。
「…なんでお前はそんな事知ってんだよ」
諦めた様に口を開いた人に俺はさっきの笑みを深くして相手の耳元まで行き口を開いた。
「好きな人のことなら何でも解るよ。だって俺はヒーローだからね」
「ばか…」
何で知ってるかは秘密さ。
だってヒーローに秘密はつき物だからね。
「ねぇ。俺がここにいたわけ本当にホスト国だからだと思う?」
「…ふぇ?」
急な問いに混乱して出した気が抜けてる声すら愛おしい。
「それはね…」
…君に逢うためさ
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