プロローグ

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  「お父様、喜んでくれるかな?」 緑の豊かな街の外れの花畑に綺麗な緑の髪をした少女がいた。 その小さな手には、花で作られた冠。 「――ここにいたのか、探したぞ?」 少女の後ろには困ったような笑顔を浮かべている男性がいた。 「お父様!」 少女は花やかに笑い、男性へと駆け寄る。 男性は膝を着き、少女を受け止めた。 「見て!お父様に作ったの!」 ニコニコの笑い、花冠を差し出す少女に男性も笑った。 「おぉ、一人で作ったのかい?」 少女が頷くと、男性は褒めながら高い高いをする。 「こんな可愛い冠を貰えるなんて、私は幸せ者だな」 そう笑うと、少女は照れたように頬を染めた。 「さぁ、帰ろうか。皆心配している」 少女を肩車し、歩みを進める。 「今度はお母様に作ってあげなくちゃ!」 少女は楽しそうに足をぱたつかせた。 「…………すまないな」 そんな少女に小さく謝る男性。 「どうして謝るの?………何で泣きそうなの?」 男性の顔を覗き込んだ少女は不思議そうな顔をした。 しかし男性は何も言わずに震えるだけだった。  
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