君の目的

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アタシは屋上に来ると必ず横になってる。 冷たいコンクリートが背中から伝わって慣れていくまで大変だけど 春のやんわりとした暖かい風がアタシを包み込んでくれるから平気。 だからもう1人の共有者のいる場所から全くアタシが見えない。 アタシは出入口の上にいるから向こうを知ってるけど,向こうはきっとアタシの存在に気づいてない。 けど存在だけでまだアタシも姿を見たことない。 ちょっと体を起こしてほふく前進みたいな格好になったら見れるけど 覗いたときに気づかれたら気まずいし。 だからホントに上原怜斗なのかわからない。 毎朝正門から入る姿を睨み付けているけど校舎に近づいてきたら視線を外してたから顔なんて知らない。 こうなるんだってわかってたら全校生徒の名簿でも調べておくんだった。 アタシは心の中で小さくため息をはいた。
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