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現状に至った原因となる出来事について、振り返らせて戴きたいと思う。
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改めて名乗らせて貰おうか。久我山夏生(くがやま・なつき)
という、齢は十九になる。
夏生という名は、読んで字の通り「夏に生を受けた」事から名付けられたと聞いた。
父は、物書きを生業としていて名を大山と言う。「文学界の巨匠といえば」と聞いて名が挙がる程であり、私にとっては自慢の父だ。
父の影響で幼少の頃から文学と触れ合ってきた私は、今では曲がりなりとも物書きを目指している。
父は厳格であり、誠実。私の根幹を形成しているのは、父の教えである。
父は例えるなら、泰山府君のような尊大な人だ。
母は、厳しくも優しい、言うなれば良妻賢母。
父は文学に取り憑かれた人なので、放っておけば不摂生になってしまうだろう。そんな父が今まで健勝で居られたのは、間違いなく母のお陰だろう。
例えるなら、鬼子母神のような子思いな母だった。
おっと、自己紹介が長くなってしまったようだ。
では、今度こそ本当に振り返らせて戴こうか。
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