憑いている

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 さて、以上が一連の出来事な訳なのだが、私は春の陽気に当てられた所為で脳をやられたのだろうか?  あぁ……私、久我山夏生は今日この時に晴れて狂人の仲間入りをしたのだ。どうせなら、とことん狂人になってやろうではないか。 「では聞こう幽霊殿、名前は何と言うんだい?」 「涼音と申します」 「私は夏生、宜しく」 「やっと喋ってくださった。夏生さん宜しくお願いします」  涼音と話している間に、一つ思った事がある。全て私の妄想というには、余りにも彼女は鮮明だった。  ひょっとしたら、ひょっとして涼音は本当に幽霊なのかもしれない。だとしたら郷長、何が「ツイてる」 だ。同じ「ツイてる」は「ツイてる」でも「憑いてる」ではないか。 「夏生さん、ふつつか者ですが貰ってやってください」 「何を馬鹿な事を言うんだ貴女は、幽霊を嫁に貰うような人間が居るとでも?」  花が咲き誇る四月の晴れた日だった。私の在り方を変えてしまうような、そんな彼女との奇妙な同居生活が始まったのだ。
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