195人が本棚に入れています
本棚に追加
/284ページ
物語の舞台は、地球の日本と言う小さな島国にある街、『海鳴市』。
そこは、その名の通り、綺麗な海が隣接している街である。
そんな海鳴市は、梅雨の時期に入ったからなのか、雨が降っていた。梅雨だと言う証拠に、紫陽花が地面に咲いていたり、家の花壇に植えられて咲いていた。
そんな海鳴市にある、とある歩道を見てみよう。
?「スゥ・・・・・・スゥ。」
?「あら?いつの間にか寝ちゃったのね。」
そこには、2、3歳位の小さな女の子を背中に乗せ、手に傘を持っている若い女性が歩いていた。
その女の子と女性は、顔立ちがかなり似ていた。・・・姉妹だろうか?
女の子を背負った女性は、女の子が寝ている事に気付き、小さく微笑んでいた。
?「ふふふ、・・・・・・?あれは、何かしら?」
笑っていた女性は、前方に何かがある事に気が付いた。が、雨のせいでその何かが見辛く、見えなかった。
気になった女性は歩く速度を速めて、その『何か』に近付く。
?「!?・・・嘘!?」
女性は『何か』を視認できる距離まで移動し、それを見て驚愕した顔をしていた。そこには・・・・・・、
?「・・・ハアッ・・・ハアッ」
女性の背中に乗っている女の子と、同じ位の年頃の『蒼い髪をした子ども』が、地面に倒れ込み、赤い顔をしながら、荒い呼吸をしていた。
?「君、大丈夫!?」
驚愕していた女性は、すぐに子どもに駆け寄り、子どもに声を掛けながら、子どもの額に手を当てる。
?「酷い熱・・・。看病してあげないと。・・・もう少しの我慢よ。」
子どもの額に手を当てた女性は、その子の体温に驚いたが、その子どもを抱え上げると、女性は歩き出した。
その頃には、先程まで降っていた雨は止んでいた。
チリンッ
猫「ニャー」
犬「・・・・・・ワンッ」
女性が、子どもを連れていく様子を離れた所で、真っ白な毛並みで鈴の付いた首輪を首に巻いた猫と、紅いスカーフのような物を首に巻いた犬が静かに見ていた。
猫と犬は、女性を見た後、姿を消したのだった。
蒼髪の子どもを抱えながら歩いていた女性は、ある一軒の家の前に立ち、その家の中に慌てて入っていった。
表札に『高町』と書かれていた家の中に。
最初のコメントを投稿しよう!