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蒼い髪をした子どもが、『高町』と言う表札が書かれた家の中に入れられた時間から、時は進み、時刻は夜の7時になっている。
その家の居間には、子どもを抱えていた女性と、若い男性、男性と女性二人の子どもとおぼしき男の子と女の子が椅子に座り、話し合っていた。
その中には、女性が背負っていた女の子は居なかった。
男性「それで、あの子の事で、何か分かった事とかはなかったのかい?」
男性が尋ねた質問に、横に座っていた女性は首を横に振り、
女性「何も分からなかったわ。あの子の服の中を見てみたけど、身元が分かるような物は無かったの。見付けたのは、」
そう言いながら女性は、テーブルに小さな箱のような物を置く。
女性「これしかなかったの。後は、あの子が手首に付けていたブレスレットだけど、それにも手掛かりになるような物は無かったの。」
男性「・・・・・・そうか。」
男性は、テーブルに置かれた物を見つめる。それは、掌に収まる位の蒼くて、様々な紋章のような物が描かれていた。
男の子「・・・父さん、母さん。その子は、まだ目を覚ましてないのか?」
男の子が、男性と女性に尋ねる。
男性「まだ目を覚ましてない。・・・今は取り合えず、服を着替えさせて僕の部屋で寝かしているよ。」
女の子「着替えって、あの子が着れる服はあったの?」
女性「実はね、服は恭也が小さい時に着てた服を用意してたんだけど、あの子が着るには腕や足の長さが合わなかったのよ。」
女性「・・・しょうがないから、美由希やなのはの服も出したんだけど、美由希の服が合わなくてね。・・・だから、サイズが合ったなのはの服を着せてるの。」
女性の話を聞き、男の子・・・『高町恭也』と女の子・・・『高町美由希』は驚いた顔をする。
恭也「えっ!?なのはの服を着せたって。」
美由希「あの子って、男の子だよね?」
男性・女性「・・・うん。」
男性と女性は、気まずそうな顔をしながら頷いた。
女性、・・・恭也と美由希、そして小さな女の子の母親である『高町桃子』が見付けた子どもは『男の子』だったのだ。
が、高町家には男物の服で男の子のサイズに合う服が無かったので、男の子は今、女物の服を着ているのだ。
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