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少女「はい。・・・マスターは、自分の名前以外、何も覚えてないと言っていましたし。・・・マスターが記憶を取り戻すのを待ちましょう。」
猫「そう・・・だね。」
猫は悲しそうな顔をしながら、少女の言葉に頷く。
猫「・・・そろそろボクは行くね。マスターが記憶を取り戻した時に、皆で住めるように良い物件を見付けておくからね。」
少女「分かりました。・・・マスターが記憶を取り戻したら、お教えしておきます。」
猫「お願いね。」
そう言って猫は飛び、窓口に飛ぶ。そして、窓の外に出ようとする。
猫「あっ、そうだった。マスターに伝言が合ったんだった。」
少女「伝言、ですか?」
猫「うん。・・・この街に、ボク達の地球に居た人達の匂いがするんだ。」
猫は少女の方に顔を向け、真剣な顔をしながら喋る。
少女「マスターの居た世界の人!?・・・それは、本当なんですか?」
猫「うん、何人かはボクが猫の時に嗅いだ事や会った事のある人達だからね。・・・間違いないよ。その人達は、ボク達の敵には絶対にならないだろうけど、気を付けてね。今のマスターがその人達に会ったら、マスターは混乱するかもしれないから。」
少女「・・・分かりました。気を付けておきます。」
猫「・・・お願いね。じゃあね。」
そう言って猫は飛んで出ていった。
少女は猫が駆けていくのを窓から見つめていた。
少女(マスターが居た世界の人、か。・・・この世界でも、マスターは戦うのでしょうか。そして、マスターはまた、護る為に失うのだろうか?大切な人達を・・・並行世界に残したあの方達のように・・・)
少女は空を見上げる。そこには、大きな満月が、夜空を照らしていた。
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