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「君を好きになるか嫌いになるかは一緒に過ごさないとわからない。でも、君には家がないんだろう?毎日どこにいるのかわからない人に会いに行くのは大変だ。だから・・・」
「だから、いっしょに、すむの」
「うん、そういうこと」
我ながら頭が悪いな、
と思った。こんな理由信じてくれるはずがない。・・・ただの変質者だ。
本当にこの子の面倒をみてあげたくなっただけなのだ。ひとりは、さびしすぎる。
だから口下手な自分を呪いたい。ああ・・・。
僕は弁解気味にこう付け加える。
「い・・・いやだったらいいんだよ、その・・・いきなりこんなこと言われても困るだろうし・・・」
「・・・ううん、うれしい」
「えっ・・・」
「こんなに優しくしてくれたのおじさ・・・お兄さんが初めてなんだ。すごく・・・うれしい」
恥ずかしさでうつむき加減だった顔を上げると、セルツァが笑っているのが見えた。小さい子がよく見せるまるで天使のような笑顔だった。これが本当にうわべだけの心の底からの喜びではないといえるのだろうか。
・・・僕にこんな笑顔はできるのかな。数時間前と同じように、僕はまたひとりで考えて苦笑した。
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