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右から左、前から後ろと、ミーンミンやら、ツクツクホーシやらと蝉が鳴き続ける炎天下の山道。
その山道の唯一、道らしき道を歩いている二人の人影があった。
「あづ~……この暑さは普通の学生に耐えることが出来るだろうか? いや、出来ないだろう」
一人は黒いTシャツに半袖の上着を羽織り、先導する少年。
名は【桜井烈水(さくらい れっすい)】
高校生活を満喫してる普通の学生と、自称している。
「誰が普通の学生だよ……しかも何で反語なんだ?」
先導する烈水の後について来てる少年
彼は白を基調として、そこに縦横の黒いラインが入った服を着ている。
名は【飛守鏡雲(ひもり きょううん)】
烈水の暴走は自分ぐらいしか止めれないと、自称している。
「どっからどう見ても普通だろ?」
「……普通の学生の定義は?」
げっそりとした表情で、鏡雲は烈水に尋ねた。
「神社参拝と穴に入る事」
すると、普通の学生なら有り得ない返答が烈水から返ってきた。
「どこが普通だ! 俺に分かるように40字以内で説明してくれ!」
鏡雲は蝉に負けないくらい大きな声で烈水にツッコミを入れた。
「日本人は神社に参拝するのが当たり前で、恥ずかしかったら穴に入るのはことわざだから」
烈水は鏡雲の質問を、彼の要望どうり40字で抑えた。
「所々おかしいぞ!?」
鏡雲は、烈水の答えにツッコミを入れようとした。
「神社の何がおかしい!」
「神社がおかしいなんて言ってないけど!?」
烈水の少し――いや、かなりズレたツッコミが返ってきた。
彼はそのズレたツッコミにさらにツッコミを返す事しか出来なかった。
「それよりさ、まだ着かないのかよ……」
「ん~……あともうちょい?」
そもそも、そんな二人がなぜ、夏の山道にいるのか。
それを語るには、少し時を遡らなければならない……
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