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――数時間前――
「んっ……朝か」
自室のベッドで寝ていた鏡雲は、窓から差し込む朝日に目を覚ました。
「くぁっ……」
ベッドの上で伸びを一回した後、窓を開けて朝日が部屋に差し込む様にした。
「ん~……良い朝だ、今日は1日のんびりできそうだな」
そこから彼の平穏な1日が始まるはずだった。
「鏡雲! 神社行くぞ神社!」
「……は?」
突然、部屋のドアを開け、烈水が部屋に侵入してきたのだ。
突然の侵入者と、その発言に鏡雲の思考は一時停止した。
「だ~か~ら~、神社参拝に行こうぜっ!」
「……悪い、俺は夢を見ているみたいだ。夢は夢らしく布団に丸まって見ることにするよ」
鏡雲は烈水にそう告げると、窓を閉めて自分の布団に潜った。
「大丈夫! 鏡雲の母上にちゃんと許可を貰っといたから!」
だが、烈水が鏡雲を逃すなく、問答無用で彼の布団を剥いだ。
そのまま馬乗りになって彼の着ている服まで――。
「ちょっ……待て! お前はいったい何をする気だ!?」
今の状況はマズいと判断した鏡雲は、烈水の両手を自身の両手で止めた。
そして烈水に制止をかけようとした。
「勿論、着替えさせて神社に連れて行く気だけど?」
しかし、そんな事で止まる烈水ではなく、そのまま強行しようとして第一ボタンに手をかけた。
「分かった分かった! 一緒に行くから速くどいてくれ!」
一刻も早くなんとかしたかった鏡雲は先に折れ、烈水を引っ剥がした。
「鏡雲やっさし~」
「強制したヤツが言うな! はぁ、もういいや。烈水、着替えるからちょっと部屋の外で待っててくれ」
「あいよ~」
鏡雲の頼みを今度はすんなり聞いた烈水は鏡雲の部屋を後にした。
「まぁ、どうせ近場だしすぐに終わるだろ」
鏡雲は烈水が部屋から出たのを確認してから、自身が愛用している服に着替え始めた――。
――そして今に至る――
「色々あったが俺もOKしたから、神社に行くのは良いとしよう。だがな、別県まで参拝に行くか普通! 予想外すぎるわっ!」
今朝の出来事を振り返っていた鏡雲は、今更ながらも烈水に不満をぶつけた。
「それくらい予想しとこう! 親友なんだから」
「どういう理屈!? 何でも親友で片付けちゃ駄目だぞ!?」
しかし、烈水のズレたツッコミにツッコミを返すのが精一杯であった。
「気にするなよ!」
「気にするよ!」
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