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「なぁ、お前が行こうとしてる神社は何処にあるんだ?」
先程より少し歩いた所で、鏡雲が烈水が向かっているであろう神社の場所を尋ねた。
「や、山のど真ん中?」
肩を竦め、反応した烈水は目的地を告げた。
「疑問符を付けるな! って、疑問符? 」
鏡雲はその烈水の発言と、先程の反応を合わせてある考えにたどり着いた。
「おい、まさか――」
外れていて欲しい。
そう願いながら烈水に尋ねようとした。
「俺、神社の場所を正確に知らないんだよね~」
だが、鏡雲の願いは天に届かなかった。
予想していた爆弾発言を烈水の口から伝えられた。
「最悪だぁぁぁぁ! どーすんだよ!」
鏡雲は頭を抱え、今からどうするかを必死に頭を使って考えた。
「慌てんなよ鏡雲、人生慌てたら負けだ。あ、ミンミン蝉みっけ」
烈水は鏡雲と対照的に楽天的に考えていた。
「この状況で慌てない方が無理だろ!? てか慌てたら負けってなんに負けんだよ!」
鏡雲はうっぷんを晴らすかの如く、烈水にツッコミを入れた。
「運命に?」
「無駄にかっこいい!?」
「それにさ、俺達は道なりに歩いて来たんだぜ? ヤバくなったらUターンして帰れば良いんじゃね?」
烈水はそう言うと、後ろに延々と続いている道を指差した。
「た、確かにそうだな。なら一旦出なおそうぜ? この炎天下で飲み物無しはマズいだろ?」
「鏡雲、まさか帰りたいのか?」
烈水はジト目で挑発するように鏡雲を見た。
「はっきり言って、すげぇ帰りたい」
鏡雲はそれを認め、帰りたいと告げた。
「うわー、はっきり言われたー。酷いよー」
「棒読み!? まぁいいや、さっさと引き返――ん?」
鏡雲が大根役者並みの烈水の演技にツッコミを入れ、振り返ると、動きを止めた。
「どうした? 鏡雲。小トト□でも見つけたのか?」
「何で小トト□!? いや、アソコに鳥居が見えたからさ」
そう言って鏡雲は視線の先にあるモノを指差した。
その先には、木々に隠れて先程まで見えなかったが、良く見てみると古ぼけてはいるが鳥居が確かに立っており、奥には神社らしき建物が存在していた。
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