プロローグ

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ぐっと息を詰めたあとの 男の声には 鋭い刃物のような 本物の殺気がこもっていた。 「そんなに…… そんなに俺を拒むなら もういいよ。 殺す……… 殺してやる。 殺して俺だけのものに してやる」 男の声が、再び甘く 粘っこくなる。 「犯してやる。 死体になったお前をよ。 何回も。何十回も。 何百回も………」 「やれるもんなら やってみろ!!!!」 「脅しだと思っとんだろ… ナメんなよ、俺を。」 男は数歩下がって 車の後部座席のドアを開けた。 車内から何かが、 いくつか飛び出した。 ……? 暗がりに降り立ったものは よくは見えなかったが、 すぐにその動きで 何だかわかった。 それらは男と一緒に 近づいてきて、 ヘッドライトの先で 立ち止まる。 犬だ……大きい。 男の前に 3頭のドーベルマンが並んだ。
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