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嘘やデタラメがよく滑る、薄っぺらいその口。
「そ、そうなのですか……? 恥ずかしながら神経生物学を専攻の故か、大学の講義では習いませんでした……」
もし誰かが今の大和と光のやりとりを見ていたら誰もが彼に対し、こう思うだろう。
「汁、飲むか?」
こいつは糞野郎だ、と。
無垢なる光は、大和が差し出すカップに顔を輝かせる。
「は、はい是非!」
光は箸を構え、カップを睨む。しかし残るはスープのみとなっていた。
「そ、それでは……」
カップに唇を着け、遂にそのスープを啜る。
「お、おおほおお!」
光は頬を上気させ、奇声を上げた。
「どうだ?」
「おいしゅうございます! おいしゅうございます! 鶏ガラと醤油ベースに、ピリッと効いた胡椒。スパイシーなスープでございますね!」
光は感動の余り瞳を潤ませ、鼻水を垂らしていた。
「気に入っても全部飲むなよ。少し残すのが礼儀だ」
「中華飯店の慣わしに似ているのですね。かしこまりました。ああ、おいしい……ぷはあっ」
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