鈴の章

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光の説明で、屋敷の敷地内で家畜を飼っていることも分かる。 「屠殺場はともかく、拷問室? そんなものまであるのか、この屋敷は。何に使う?」 「わたくしのようなイケナイメス猫を、大和さまのようなドSなご主人さまに折檻(せっかん)して頂くための部屋、なのですが、残念ながら未だ完成していません」 光は、大和の質問の本意を冗談で流した。 拷問室を必要とする、この屋敷や長門ホールディングスの暗黒面を感じる大和。 切り替えた様子の光は、描かれた七星に視線を向ける。 「そして、この2階は居住区になります。長門家の者の生活空間や仕事部屋を中心に、客室、使用人の控え室も、このフロアにございます。鈴さまの部屋を始め、明日のしきたりも2階を中心に回る予定です」 意識だけを背後の回廊へ振りかえらせ、鈴の部屋も2階だったなと大和は思い出す。 光と大和はエレベーターに乗り込み、2階から1階へ降りて行った。  
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