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夜10時。バイトを終わらせ帰宅すると
テレビに見入る家族の姿があった。
僕は特に何も言わず、自分の晩御飯の用意を始める
「怖いね、奏斗。」
母がポツリと言った。
「…あぁ」
「ここも断層があるから…」
「…まぁね」
いつかは、僕達も。
少なからずそんな思いはあった。
情報は増え続けていた。
最大津波は7.3m以上、広範囲の津波警報、止まない余震、連鎖する火災。
死者、200人以上。
どこのテロップも、情報も、似たり寄ったり。
気持ち悪い。
数時間前を返せよ
平和にテレビが流れていた時間を返せよ
幸せそうに笑って喋っていた時間を、返せよ?
誰に問うのでもなく、ただ震えていた。
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