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初めての部活動、初めての時間―。
期待よりも緊張感が高まった。
小さい頃から上がり性で、人前で何かをするのがともかく苦手。
新入生として迎えられ、まずは自己紹介をするということになったのはいいものの、バクバクと高鳴る心臓の音が自分の耳について離れない。
早くこの時間が終わればいいのに…
近づいてくる自分の順番…そして…
「はい。じゃあ次の人ね。」
「は…はい!」
部員の視線が一点に集中する中、私は返事をしてゴクリと息をのんだ。
「1Cの山上奏です。バドミントンは初心者ですが、自分に出来ることを一生懸命頑張って、楽しんでいきたいと思います。よろしくお願いしますっ!」
あまりに緊張しすぎて自分が何を言ったのか、全く覚えてない。
隣に座って話かけてきているふゆに対しても、ただコクリと頷くだけで、何を話していたかも分からない。
「ちょっと、奏!聞いてんの?ていうかもうみんな自己紹介終わったよ?次は男子みたいだよ」
「…へ?」
「へ?じゃないし。こんなんでどんだけ緊張してるのさ。」
苦笑いして私を見るふゆ。
は…恥ずかしい。
それから我に返ったあたしは、ただただ小さくなって体育座りをした。
結局あたしはみんなの自己紹介を聞き逃してしまった。
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