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彼女の名前は棚橋奈央さん。オレの名前は深町音哉。またの名をマチオという。
奈央さんはオレの天使。で、オレは彼女に惚れまくってる冴えない中年のオッサンだ。
オレがよく行くスーパーマーケット“ひらしん”で、前の年の6月頃から勤め始めた彼女。そのあまりに清楚で可憐な姿をオレは見初めた。
だんだんと彼女を好きになり、恋愛経験皆無で小心者のオレが、悩んだり自分を励ましてアタックしたりそんでよろこびに舞い上がったり落ち込んでドツボにハマったりしながら片想いを続け、すったもんだの日々を送った愉快な様子は、前作“ツギカレ”に書いたので興味のある方は読んでいただきたい。
恋文を渡して2週間。未だ来ぬ返事を待ってる43歳恋する男。
それが、オレ。
焦ってはいない。
雪国鷺沼に春が訪れるには、例年まだまだ時間がかかるのだ。
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