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話は2週間前に遡る。
オレは奈央さんにラブレターを贈った。仕事帰りに立ち寄った、彼女の勤めるスーパー“ひらしん”のレジカウンターで。
読んでもらったかどうかわからないが、手渡すとき、
『ラブレターです』
と言って渡したのだから、オレの想いは伝わっているはず。なのだが…
翌日、翌々日はドキドキしながら待った。ケータイのメール着信音が鳴るたびに、チェックする。恋文にはケータイの番号とメールアドレスを書いておいたから、
“一緒に過ごす時間をオレに許してくれませんか?それが無理なら、メール交換でも”
という、オレの気持ちに対する返事がくるかも、と思ってた。
3日…4日…
“まぁ、OKでもNGでも、そんなに簡単に答えが出せるわけがないよな”
そう思い、焦らず待つことにした。便箋で9枚にもなったラブレター。どう受け止めたものか、戸惑うのは当然だ。
5日、6日、7日…
何の返事もない。じりじり焦りが募ってくる。
もとより、
“二度三度フラれても構わない”
そう思えたから、告げることのできた気持ち。たとえ『ごめんなさい』でも、何か気持ち聞かせてもらわなければ…。
一週間が経ち、待つことに疲れたオレは、彼女の仕事終わりに待ち合わせるよう頼んで気持ち聞き出そうかと、そんなことを考えていた。
そんな頃のことだ。
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