新たな始まり

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オレは、 “彼女のことをもっとよく知りたい” そう願っていたのだ。 たった今わかっているのは、 “返事がもらえていない” という、その事実だけだ。 いったい、オレは“自分の中の彼女のイメージ”が好きなのか、それとも彼女自身が好きなのか? 新たな自問が生まれてくる。 オレが求めているように、自らの気持ちを明らかにしてくれる想像どおりの彼女でなければ愛せないのか? …そんなことないよな。 返事もらえなくても、今でも好きで好きでたまらない。まだ知らないことばかりだけれど、オレは直感で彼女に惚れこんでいる。 “この人しかいない” そう思ってる。 決して彼女に自分の理想像をあてはめて、崇拝しているんじゃない。彼女がオレを、全然なんとも思っていなくたって… “やっぱり、彼女が好きだ” そこまで考えて、思った。 彼女が返事をくれない訳は、いくらだって考えられる。 たとえば他にステディな恋人が彼女にいるんだとしたら、それなら期待持たせる返事は返せなくて当然だし。かといってオレを傷つけたくないからと気持ち明らかにできないのなら、それはそれで彼女のやさしさの表れかもしれないし…。 仮にオレがなんとも思われてないとしても、 “ほっとけばそのうち熱が冷めるでしょ” そんなふうに思われているとしても、 そうじゃないことを示すのは、これから起こす行動や態度だろ? もしかしたら、試されているのか? だとしたら、やっぱり自分の気持ちを示していく。恋人として合格点に達しているかどうか、オレがどのくらいあきらめない気持ちでいるか、やはり態度と行動で示していくだけのことだ。及第点に達しなければ、許されるかぎり何度でも追試を受ければいい。 そして返事保留で、 “キープしとこ” って彼女に思われているなら…大歓迎じゃないか! もし本命のカレシがいても、オレは彼女の未来の恋人候補… “ツギカレ” なんだと、そう信じていたはずなのだ。
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