[1] 初夏

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「悪かないけど、家出してなんで俺の居るこのアパートを選んだんだよ?」 「他の奴は親が居るし、それに家に連絡されるだろ?」 「いや……俺も普通に連絡するがな」  どうやら公輝の家出は『マジ』らしい。何が原因かは知らないが、親父や母さんに連絡されたくないようだ。  公輝は突然頭を下げて、 「お願いッ! お兄ちゃんとこに泊めてくださいッ!」  口調がさっきとまるで違う!  声がワントーン高くなって、しかも『お兄ちゃん』だなんて!  ヤバい……目眩がしてきた。  俺は何も答える事が出来ず公輝を見下ろしていると、 「ダメ?」  公輝は顔をあげてハニカンで見せた。  その表情が物凄く可愛くて、公輝の性格を知っていても、 「わ……わかった」  承諾してしまう不甲斐ない俺を神は許してくれるだろうか。  公輝の表情が更に明るくなって、まるで花畑が辺りに見えるくらい満面の笑みを浮かべ、 「ありがとう、お兄ちゃん!」  語尾に音符マークついてんじゃねぇのか? と思うほどハイテンションだった。  
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