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くそう……あれほど、答えは一貫してNOと決めていたのに、あの強烈な笑みであっさりやられてしまうとは不覚だ。
しかしこれだけはいわせて貰おう。
「この家では『俺がルール』だ! 俺に従えないなら直ぐに出て行って貰うからな!」
漸く慣れてきた独り暮らしを、この唯我独尊な公輝に荒らされたくはない。
それを牽制する為に約束させようとしたのだが、
「はーい。性的欲求まで叶えまーす」
「いらんわ!」
本当に分かっているのか? コイツは……。
妙に馴れ馴れしくなった公輝は、玄関で靴を脱ぐと一歩部屋に踏み込んだ途端、
「……あのさ、掃除くらいすれば?」
埃の被った靴箱の上を指でなぞり、その指先に息を吹き掛け俺を見上げた。
その表情は呆れたように、残念な人間を見ているかのようだった。
「今日やるつもりだから! 決して言い訳じゃないぞ! 現に今から洗濯やら掃除を――」
「へぇー」
って、話を聞けぇい!
公輝は俺の話を軽く聞き流し、ずかずかと部屋の奥へ歩き出す。
そして居住空間であるリビング兼寝室のベッドに腰掛けた。
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