[1] 初夏

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 一応、公輝は客人だが『お珈琲にしますか? お紅茶にしますか?』なんて聞くつもりはない。  ベッドに腰掛けたまま足を組み、手を後ろに付いて公輝はのけぞると、 「しっかし暑いね。エアコンないの? はぁ……」  天井や壁を一望して溜め息をついた。  その公輝の体勢はTシャツが捲れて、小麦色の腹が見える。  ヘソ丸出しで、尚且つ仄かに割れた腹筋が妙に腹立たしい。  俺なんて、ここ最近三キロ太って腹がブヨブヨになって来た所だ。  運動しないと不味いが、しかし動く気にはなれない。  だって暑いし。  普通、夏っていうものは食欲が減退するが、俺は逆で食欲が増す。  ヤバいと思いつつ、弁当を食い、デザートを食べ、甘いジュースを飲み、菓子を頬張り――そりゃ太るわな!  現に公輝から『太った?』と聞かれたし。  本気でダイエットを考えなければ……。 「ねぇ、どっか涼しい所に行こうよ」  あまりの暑さに早くも参っているのか公輝は顔を歪めて、服の裾をバタバタと上下に振るっていた。 「はっ? 俺、今から洗濯と掃除すんだけど」  
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