[1] 初夏

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「折角、可愛い可愛い弟が遊びに来てやったのに? まっ、家出だけど」  外見が可愛いのは認めてやるが、その性格の悪さは可愛いじゃなくて憎らしいだ!  しかし、いくら頼まれた所で俺には洗濯、掃除という二大強敵が目の前にいる。  今、この戦いから逃れていると後々悲劇が待ち受けている事必至だ。  欲をいえば、公輝にも是非手伝って欲しい。しかし奴は手伝ってくれそうにもない。 「洗濯と掃除が終われば何処へでも連れてってやるから……。だから、手伝ってくれねぇ?」  半ば諦めで公輝に頼んで見た。  すると公輝はベッドから立ち上がると、 「いいよ。暇だし」  なんて素直で良い子!  意外にも手伝ってくれるようで、早くも床に散らばった衣類を一枚、また一枚と拾い上げていく。  けれど突然手が止まって、 「あのさ、これ――」 「ぎゃぁぁぁぁッ!! み、見るなぁぁぁぁぁッ!!」  衣類を拾い上げた下に、俺の秘蔵お宝コレクション《独り暮らしのたしなみ》である、エッチな雑誌が露になっていたのだ。  
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