0人が本棚に入れています
本棚に追加
「あぁ……あとは俺がやるよ」
これ以上、何もかも公輝にやらせるのは偲びない。
けれど公輝は首を横に振って、
「俺がやるからいいよ。で、どこ?」
「えっ……あ……玄関の隣……」
「りょーかい」
全く俺って奴は!
そういえば実家にいる頃、何故か公輝は掃除やら洗濯やら、料理まで嫌な顔一つせず率先して行っていた。
親父と母さんが旅行に出掛けた時も、夜遊びする前に公輝が全部家の事を片付けていたし、もしかしてコイツは――良いお嫁さんになるのでは?
って、バカ! 公輝は男だっての!
一人心の中で突っ込みを入れていると、脱水所から戻った公輝は、
「掃除機どこー?」
今度は掃除機の在処を尋ねて来た。
「あぁ、それならそこの押し入れに――」
結局、公輝が全部一人で片付けてくれて、俺はただボーッと邪魔にならない所で座っているだけだった。
なんて不甲斐ない兄貴だ……。
最初のコメントを投稿しよう!