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公輝(こうき)は俺の弟で、中学一年生。三人兄弟の真ん中で一番の問題児だ。
小学五年の頃から夜遊びが頻発し、家に帰宅する時間は日を跨いだ深夜一時が多く、稀に朝帰りする事もあった。
マセガキで年上と良く遊んでいたし、外見は年相応なのだが悪知恵もあり、言葉遣いも悪い。
目上の人間に対して腰が低く、けれど身内である俺や親父にはその限りではなかった。
なんていうか、威圧的な態度でろくに話も出来なかったし、俺から話をしようともしなかった。
結局の所、公輝とは仲が良いとか悪いとかそういう関係性はなく、ただ単に『同じ家に住む子』という思いしかなかった。
弟だと感じた事もないし、思った事もない。
公輝が小さかった頃も、俺には懐かなかったし、その都度の開口一番が『こっちにくるな』だった。
独りを好む性格なのかと思ったが、母さんには偉く懐いていたし、親父にもまぁそこそこに。
俺だけが拒否。
はっきりいうと、俺は公輝が嫌いだ。可愛くないし。
だから好きにさせてやれば良いんだ。世間の怖さを思い知れば良いんだ。
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