[1] 初夏

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 健斗(けんと)は俺達の兄弟で末っ子の小学二年生。  一言でいうと天使だ。  物凄く可愛いから。  何をするにも『兄ちゃん、兄ちゃん』って。公輝とは正反対だ。  悪さもしないし、口も悪くないし、一番は良く懐いてくれる事だろう。  実家にいた頃は年がら年中、俺の部屋で健斗は寝ていた。  というか、夜になると枕を持って『一緒に寝ていい……?』と、頬を赤く染めてやって来るものだから、断りきれなくて。  別に断る理由もないが。  唯一、健斗が懐かなかったのは公輝くらい。  公輝は健斗を構っていたが、健斗は物凄く嫌そうな顔をしていたし、その都度俺に助けを求めに来たし。  で、そのせいか俺は公輝に睨み付けられるし。  普段からあれだけ公輝の態度を目の当たりにしていたら、健斗もそりゃ嫌になるだろう。  口悪いし。  公輝に対しての健斗は恐怖というより、嫌悪が強かったようだ。  
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