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いやいや押しすぎだろ……と、心の中で思ってはいたが口には出さず、ドアノブを回して扉を開けると――ゴンッ! という、何かにぶち当たったであろう衝撃音が耳に届いた。
扉にぶち当たった『何か』が、頭を抱えたまま入り口でうずくまっている。
金髪で結構な長さの髪。肩辺りまで伸びた髪と、真っ黒なTシャツ、そしてジーンズ。
華奢な体つきではあるが、小麦色に焼けた肌に、漂う香水の甘い香り。
それは『何か』ではなく、『何者か』であった。
体を丸めて頭を押さえているので、来客者の顔が見えない。
どうやら当たり所が悪かったのか、ハァハァと息遣いを荒くしてもがいていた。
誰だか分からない。というより当たり前の事だが、息遣いだけで誰だか分かる方が異常だ。
「だ、大丈夫か……?」
あまりにも、もがく姿が痛々しくて、誰だか尋ねる前に相手の体を気遣ってしまった。
そもそも扉は外側に開くものだから、その前に突っ立っていると衝突するのは必然的だ。
それを知らなかったのか? この馬鹿は。
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