[1] 初夏

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 公輝が俺のアパートに来るはずがない、と思っていただけに衝撃的だった。  初めてといって良いほどに間近で見る公輝は、目が真ん丸で大きく睫毛も長いし、鼻筋も通っていて、唇は熟れた林檎みたいに赤い。  全体的に輪郭はシャープで小さく、身長は俺より頭一つ分くらい小さい。  金髪になっていた髪は、それでも艶があり、この暑さで汗臭くなっているはずなのに、漂ってくるのはシャンプーと、やはり香水の香りだけだった。  見た目だけなら文句なしに可愛らしいが、けれど性格は最悪だ。  他人ならいざ知らず、俺は公輝の性格の悪さを肌で感じ、そして嫌というほど思い知らされている。  いきなり家出して来て、仮に『泊めてくれ』といわれても、答えはNOだ。  公輝は俺の問い掛けに対し、 「来ちゃ悪いのか?」  シレッとした態度を見せた。  その態度は、はっきりいって腹が立つ。  というか、まともな会話をしている事に若干の戸惑いを感じずには居られなかった。  
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