序章

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大学時代、ラグビーで鍛えた銀次の足は、53歳となった今でもわずかな衰えを見せるのみ。 足腰には自信がある。 しかし、今の"奴"から逃げ切る自信は正直無い。 奴は素早い。 いや、素早いという形容の仕方は適さない。 奴に三次元の常識は一切通用しない。 奴は視覚的に捕らえた物質との距離を正確に視認すると、その物質の間近へと飛翔する能力がある。 奴らは人では無い。 動物では尚更無い。 この世界のありとあらゆる生命体よりも更に高尚な生物なのだ。
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