終業式

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ひたすら脳内で俺を罵倒しながら会長を見る。 会長が俺を呼び出すなんて、一体何のようなんだろ。 というか会長が俺を知っていることが驚きだ。 会長とはクラスも違うし話したこともないから。 「それで、会長は俺になんの用ですか……?」 「智里」 「え?」 「……名前、名古屋智里だ」 「は、はぁ。 ……あ、俺の名前は」 「知ってる。 吾妻圭介だろ?」 「あ、はい……」 「……」 「……」 「……」 「……」 結局何が言いたかったんだろうか。 お互い無言で目を合わせることなく時間が過ぎていく。 てか今気づいたけど、俺の腹の位置に会長の腰があるよ。 足長いな、身長然程変わらないのに。 ……今自分で自分の傷を抉った気がした。 一人落ち込んでいると、前から少し緊張した声が俺を呼んだ。 「っ圭介」 「? はい?」 「……圭介」 「っはい、なんですか?」 噛み締めるように再度名前を呼ばれて少し動揺してしまう。 会長良い声なんだからそんな言い方されると皆ドキってしてしまうって。 "これだから声も良いイケメンは"と動揺を正当化していると、会長は自身の拳を握り締めて口を開いた。 「お前が好きだ。 恋人として付き合え」 「……は?」 ちょ、ちょっと待て。 信じられなくて思わず周囲を見回す。 周囲に人はいない。 ということはこれは人違いでもドッキリでもない。 「……えっと、本気ですか?」 失礼だと思いながら尋ねる。 だって会長が、俺に、なんて信じられない。 一方的に見ることはあっても会ったこと、まして話したこともないのに何故会長は俺に惚れたんだ。 正直告白されても驚きと疑問しか涌いてこなかった。
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