夏休み

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夏休みは皆実家に帰ることになっているから次に会うのは一ヶ月後になる。 一ヶ月この状態が続いたら本当にフェードアウトだよな。 家に戻った俺は部屋のベッドに寝転がり項垂れていた。 「はー……」 「兄貴ーーー! ご飯だから下りて来いって!」 「寛樹、近いのに一々叫ぶなよ」 扉を開いて現れた弟に文句を言う。 けど気にした様子のない弟はズカズカ入ってくると何を思ったのか寝ていた俺の腹にタックルかましてきた。 「ぐえっ! ちょ、お前何してんだこの馬鹿野郎!」 「えーだって兄貴久しぶりだし、弟の愛情表現だよ」 「んな痛い表現なら愛情いらねー!」 ニコニコと笑って言う弟にこめかみがピクリと動く。 畜生、いつの間に俺の弟はこんな腹黒くなったんだ。 ……母さんの影響か。 ニコニコと黒い笑みを浮かべる母親を思い出して何とも言えない気持ちになる。 「アーニーキー! だから飯だって!」 「分かった分かった、だからとりあえず退け」 「えーー」 不満そうな声をあげる弟を押し退けて起き上がる。 痛てて、腹にモロ肘入ってたぞ。 弟の頭をパシンとしばいてベッドから立ち上がり部屋を出る。 抗議の声なんて無視だ。 「チッ、兄貴の癖に弟のこと無視すんなよな!」 「うるせー。 兄ちゃんは寝ているところをタックルする弟の言葉なんて聞かん。 それと舌打ちすんな。 母さんに怒られるぞ」 「う……それはそうと! 兄ちゃん成績表どうだった? オレばっちりオール5だったぜ!」 「う゛……に、兄ちゃんの学校は授業難しいんだよ!」 苦し紛れにそう言って逃れる。 ちなみに成績は中の中だ。 これはどんなに頑張ろうが変わらない為、友人間で一種の七不思議扱いされている。 失礼な。 でも、俺自身入試は奇跡で通ったんだと今でも思っていた。
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