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「で、なんかあったんだろ?話してみろよ」
私の隣に腰を掛けた姿雪くんが、優しい声で尋ねてきた。
「………歩希さんが、仕事に行っちゃって寂しかったから」
「そっか…でも、歩希さんって社長なんだろ?忙しくて当たり前なんだから、琉乃もちゃんと割り切れよな?」
「うん……でも、家に1人ぼっちはやだ…」
姿雪くんは私の頭をクシャッとすると、ニコッと笑った。
「たまには遊びに行ってやるから。寂しかったら俺や美那に連絡しろよ」
「…ありがと」
姿雪くんのお陰で、少しだけ心が軽くなった気がした。
「姿雪くん、私……帰るね?」
「大丈夫か?」
「うんっ」
私が笑顔で頷くと、姿雪くんは安心したように笑って立ち上がった。
「送るよ」
「ふふっ…ありがと」
「何笑ってんだよ…」
「いや…姿雪くん、優しいなって思って…」
そう言うと、姿雪くんは得意気な顔をする。
「俺は誰にでも優しーの」
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