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私は歩希さんとお兄ちゃんの話に神経を集中させる。
「で、何のようだ?琉乃に嘘吐いてまで来てやったんだ。早く言え」
やっぱり仕事って嘘だったんだ…。
「お前……別に琉乃のこと好きじゃないだろ」
お兄ちゃん…何言ってるの…?
どうしてそんなこと、今さら歩希さんに聞くの…?
「……」
姿雪くんは、心配そうに私の手を握ってくれる。
「言っている意味がよくわからないんだが」
歩希さんはあくまで冷静だ。
「わからないんじゃなくて、わかろうとしないだけだろ?」
お兄ちゃんは歩希さんの返事を聞かないまま、話を進める。
「お前が琉乃の付き合ったとき……お前、ちょうど愛美ちゃんと別れたときだったよな?」
「……あぁ」
「フラれたショックで、適当に琉乃と付き合った………そうだろ?」
適当……?
本気で歩希さんを好きだったのに、歩希さんは適当だったの…?
「……」
「結婚だって、流れでしただけなんだろ?今でも愛美ちゃんを忘れられないから……気を紛らわすために琉乃と結婚したんだろ?」
やめて………
やめて、お兄ちゃん……
そんなこと聞かないでよ!
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