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「あれ?琉乃?」
涙でぐちゃぐちゃな顔でフラフラと歩いていると、不意に名前を呼ばれた。
「あ………美那」
彼女は名倉美那(ナクラ ミナ)。
私の親友で、姿雪くんの元カノだ。
当人たちは別れた後も友達として仲良くしている。
「美那ぁ……どうしよ…っ」
美那の細い腰に巻き付いて、消え入りそうな声で泣き付いた。
「琉乃…大丈夫?何があったの?……とにかく、私の家に行こ?」
美那は私の手を取って歩きだした。
美那の後ろ姿をボーッと見つめる。
美那は美人だ。
スタイルもいいし、性格だっていい。
セミロングのサラサラした髪は、少し赤茶色に染めている。
私も美那くらい完璧だったら……歩希さんも私を好きになってくれたかな?
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