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「そ、それがどうしたの…?自然消滅したからって、歩希さんが愛美ちゃんを嫌いになったわけじゃないんでしょ…?」
「それは………本人に聞いたほうがいいんじゃない?」
不適に笑う姿雪くんにイラッとして、私は思わず叫んだ。
「会えない…っ歩希さんとはもう会わないの!」
それでも彼は表情を崩さない。
「それはどうかなぁ?」
ポケットに手を入れ、携帯を取り出して何やら弄りだした。
「何…してるの?」
携帯を耳に当て、誰かに電話をかけているようだ。
「…あ。歩希さん?」
“歩希さん”
そのワードが頭の中で何度もリピートされる。
「しっ…姿雪くんっ…?」
混乱しながら姿雪くんの腕を引っ張っても、彼は電話を切ろうとしなかった。
「琉乃、見つかりました。今すぐ2丁目の公園に来てください。必ず」
姿雪くんがこんなに性格が悪いとは思わなかった。
わざわざ歩希さんを呼び出すなんて…。
「どうしてここにいること、歩希さんに言ったの!?」
胸ぐらを掴みながら問い掛けると、平然と答えられた。
「勘違いしてる琉乃を助けただけだよ」
わけがわからず、胸ぐらから手を離し、歩希さんが来る前に逃げ出そうと公園の出口へ走る。
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