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「…好きだ」
「え…?」
「俺は琉乃が好きだ」
「嘘言わないで!じゃあ、どうして婚姻届け出してくれなかったの!?私のこと…好きじゃないからでしょ…?」
強く言ったはずなのに、語尾が弱々しくなってしまい、情けなく思う。
「確かに……最初は好きじゃなかった。なんだかんだ言って、その時はまだ愛美に未練あって…」
やっぱりそうだったんだ…
「でも、琉乃と住むようになってからは琉乃を好きになっていった……笑う顔も、泣き顔も……全部愛おしいと思った。婚姻届けを出せなかったのは、単に俺に意気地がなかったからだ」
いっぺんに言われて、私の頭の中はぐちゃぐちゃ。
「…琉乃がまだ高校生だから、犯罪になるかもって思って」
真面目な顔で話す歩希さんが可愛くて、私は泣きながら笑顔を見せた。
「愛があれば犯罪にはならないよ!」
「琉乃…?何泣いて…っ」
「嬉し涙!…歩希さん、大好きです!」
飛び付く私を受けとめて、歩希さんは私の頬にキスを落とした。
「俺も…大好きだ」
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