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「あの~…イチャついてるとこ悪いけど、俺の存在忘れてない?」
私はハッとして歩希さんから離れようとするが、彼はそれを許さなかった。
「あ、ああああ、歩希さん!?」
肩を抱かれて思わず赤面する私を、姿雪くんは呆れ顔で見てくる。
「横から取ったりしませんから、そんなに睨まないでくださいよ」
そう言いながらも歩希さんと睨み合っている。
「琉乃に手ぇ出したら殺す」
「恐いっすね~。ま、でも…まだ諦めてないんで」
2人の雰囲気にオドオドしていると、遠くから美那の声が聞こえた。
「琉乃~!」
「み、美那!」
なぜか美那は泣きそうな顔をして走ってきた。
「姿雪と歩希さんもいたんだ…」
肩で息をしながら2人を一瞥しながら溜め息を吐いた。
「2人とも、琉乃が恐がってるからやめなさい」
美那はジロッと睨み付けるように2人を見ると、姿雪くんはビクッとした。
「美那…」
姿雪くんは困惑した顔で美那をゆっくり振り返る。
「……もしかして、さっき手を振り払ったことに罪悪感かんじてんの?」
今の美那には、多分誰にも逆らえないと思う。
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